Imeglimin-米国・EU

独自の作用機序を有する2型糖尿病の画期的な新治療薬候補

Poxel社で最も開発が進んでいる新医薬品候補化合物であるImegliminは、全く新しい糖尿病治療薬であり、日本において第Ⅲ相臨床試験が完了し、米国と欧州で第Ⅲ相臨床試験を控えています。本剤は、グルコース依存性のインスリン分泌促進とインスリン抵抗性の抑制改善という二つの作用機序を有する、これまでになかった唯一の経口薬であると考えています。これらの作用によりImegliminは、既存の糖尿病治療薬では十分な効果が得られなくなった患者に対し、疾患の進行を遅らせ、新たな治療の選択肢を提供できる可能性があると期待されています。また、既存の治療薬との併用療法でも効果を示し、心血管性のリスク因子を低下させる可能性も期待できます。ミトコンドリアは細胞のいわば発電所であり、その機能障害は2型糖尿病の病態生理と関連していることが示唆されています。そのため、ミトコンドリアを標的とすることで、Imegliminは2型糖尿病の病態生理に大きくかかわる膵臓、筋肉および肝臓に同時に作用することを可能としました。これまでにImegliminは、28の臨床試験で評価され、米国、欧州および日本において400名の非糖尿病患者と1,800名の2型糖尿病患者に投与されてきました。Imegliminは、各試験で高い忍容性を示し、プラセボに比べHbA1cやその他の血糖パラメーターを統計学的に有意に低下させることが認められています。

Poxel社は、米国および欧州、ならびに大日本住友製薬株式会社との提携の対象とされていないその他の国々において、Imegliminの製品化パートナーとして、Roivant Sciences GmBH社(以下、「Roivant社」)とパートナーシップ協定を締結しています。

米国と欧州においてRoivant社は、代謝疾患に注力する子会社であるMetavant社により、まずは中等症から重症の慢性腎臓病(慢性腎臓病(CKD)ステージ分類 3b/4)を伴う2型糖尿病患者をターゲットにしています。米国疾病予防管理センターによると、米国では約240万人の成人が2型糖尿病とCKDステージ分類 3b/4の慢性腎臓病に罹患しており、これらの患者は心血管性リスクが高く、難しい血糖管理を必要としています。

Poxel社は、2型糖尿病と進行した慢性腎臓病を罹患している患者には、優れた有効性と安全性プロファイルを有し、低血糖リスクを大きく低減する新しい治療薬が必要だと考えています。2019年7月にPoxel社は、Imegliminの薬物動態試験薬力学試験の結果を発表しました。これらの試験においてImegliminは、高い忍容性を示すとともに、これまでの試験と同様に良好な安全性プロファイルを示したことから、この特定的な患者集団に対する効果的な治療薬となりうる可能性が示唆されました。現在、米国における第Ⅲ相臨床試験の準備を進めており、米国食品医薬品局との折衝が完了次第、同試験を開始する予定です。

既存の2型糖尿病治療薬とそれらの限界

既存の治療薬は、初期段階ではグルコースの恒常性を維持する上で効果を発揮しますが、さまざまな安全性上の問題があります。例えば、メトホルミンは、低血糖に至ることはまれですが、肝臓や腎臓障害のある患者において、血中に乳酸が蓄積する危険性の高い乳酸アシドーシスを発現させることがあり、そのような患者には利用可能な選択肢になっていません。一方、スルホニルウレア系経口薬は、低血糖や体重増加のリスクが伴います。チアゾリジンジオン系経口薬に関しては、体重増加、体液貯留、骨折との関連が報告されています。また、メトホルミン、α-グルコシダーゼ阻害薬、経口DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬など一般的に処方される治療薬に関しては、悪心、嘔吐、下痢、めまい、衰弱などの副作用との関連が報告されています。

また、多くの既存薬は、十分に2型糖尿病の進行を遅らせたり、合併症を予防することに限界があります。これらの既存薬は、血糖管理に有効であっても、さらなる疾患の進行をコントロールできず、関連する併存疾患にも有効でない場合がよく見られます。Decision Resources社によると、例えば、約56%の患者(G7で約2000万人の患者に相当)はメトホルミンを使用し始めてから3年以内に薬剤耐性を示すようになります。糖尿病患者の死亡例は、多くの場合心血管疾患と関連しており、不十分な代謝管理によってそのリスクが高まっている事実に照らして、これら既存薬の効果における限界は重大な課題です。

2型糖尿病は、CKD(慢性腎臓病)の主な原因の一つになっています。CKDを伴う2型糖尿病の治療はより複雑であり、治療薬の選択肢も限られています。

ほとんどの血糖降下薬は、軽度のCKDを伴う2型糖尿病患者に使用できますが、CKDステージ分類 3b/4の場合、多くの治療薬は推奨されていないか禁忌とされています。さらに進行した腎機能障害の場合は、用量の調整を必要としています。これらの制限には、以下のものが含まれます。(1)腎機能障害の重症度が増すにつれ、安全性リスクが高まる。(2)CKDが進行するにつれ、有効性(血糖管理)が減少する。(3)腎機能障害の重症度が増すにつれ、用量を調節する必要が生じる。最も使用されている治療薬はインスリンおよびインスリン分泌促進薬ですが、多くの場合、低血糖を防止するため最適以下の用量が投与されます。

これら既存薬の制限により、CKDステージ分類 3b/4の慢性腎臓病を伴う2型糖尿病患者は、疾患を管理するための治療法に限界があるという状況に直面しています。非臨床試験と臨床試験で確認されたImegliminの作用機序は、CKDステージ分類 3b/4を伴う患者の血糖管理に有効である可能性を示しています。また、Imegliminは、 血糖管理を強化する目的で、さまざまな糖尿病薬の併用治療薬としても使用できると考えています。加えて、腎機能障害のある患者において、プラセボと同程度の忍容性プロファイルを示しています。

CKDを伴う2型糖尿病患者の高血糖治療は、さまざまな禁忌、用量調整、腎機能障害の増悪による安全性リスクがあるため複雑になっています。以下の図は、CKDを伴う2型糖尿病患者の治療に使用される既存薬に関する特定の制限を示しています。